前回の続きです。
アダルトチルドレンの問題、症状からの回復には過去を見つめなおす必要はあるのでしょうか。
実際にカウンセリングをしていると、過去は過去でいいと言われる方も案外おられます。
私は過去を見ることを避ける傾向としては次の2つが考えられると思います。
① 未来にエネルギ-が向かっている。
② 過去が嫌い。思い出したくもない。
いずれにしてもカウンセリングとは、クライエントの方の気持ち、希望を第一として行われるものですので、クライエントの方が過去を見たくないと希望されれば、それはそれでいいのです。
実際にそうは言っても、カウンセリングを進めていくうちに、折々過去に触れる場合もあるのですから。
さて、私の場合ですが前回も書きましたが、過去を振り返ること、また、過去を振り返るカウンセリングは受けていません。
特に、過去を振り返らなくても、自分の問題は自分の子供時の親の育児態度にあることは理解していました。そして、それ以上掘り下げることはしませんでした。
(とは言っても、過去を振り返るワ-クショップを3日間受けたこともあるのですが、何をしているのか全然分かりませんでした)
たぶん過去が嫌いだったのでしょう。
実際、私は小、中、高、大の写真を持っていません。
写真、卒業文集、卒業アルバムはとうの昔に捨ててしまいました。
そのことについては後悔もしていませんし、見たいとも思いません。どうせ見ても無感覚になるだけですので。
いずれにせよ、私が過去を振り返ることにエネルギ-を注がなかったのは、過去何の思い出もないので無意味と感じたのか、視線が今と未来に向いていたのか、その両方なのかもしれません。
私がアダルトチルドレンの問題から回復出来たのは、今に適応することを目指したからです。ここからスタ-トしました。
それは、自分の性格を知ること、人間関係スキルの獲得でもあり、今の物の見方、考え方の変更、行動修正です。
エニアグラム、交流分析、認知行動療法、話し方教室に通う、会社生活で役割を果たす。これらが回復のプロセスへの中心だったのです。
まさに、現実に即して回復の道のりを歩んだと思います。
では、過去を振り返った方がいいクライエントの方はおられるのでしょうか。
おられます。
それは過去に縛られている方は、過去を振り返った方がいいでしょう。
今に対応するエネルギ-が低下されている方。何でも自分に関連づけて考えてしまう方、分かってはいるけど動けない方。
これらの状態の方は有効と思います。
過去を振り返る効果の1つとして、自分が恐れていること、出来ないこと等の原因が本当に自分にあるのか確認出来ることがあげられます。
例えば対人不安の場合、その不安の原因が「自分は絶対拒否される」と思っている場合、なぜそう思っているのか過去にさかのぼり考えます。すると、そこには何をしても誉めない、要求ばかり続けていた親の姿が出てくる場合があります。
そうすると「自分は絶対に拒否される」この不安の根源は、過去親から何をしても認めてもらえず、愛してもらえなかった、子供時の悲しみ、不安、思いがあり、それが信念化されたことが分かるのです。
「自分は親に愛されるに値しない。拒絶される子」と、子供の時に自己決断を行い、信念を勝手に持ってしまったのです。
そして、この決断、信念を持ったまま人は成長しますと、大人になっても、「自分は絶対に拒否される」「自分は価値がない」「愛されるわけがない」と子供の頃決断をした信念を抱き続けてしまいます。また、この信念、思いがあるゆえに、実際に人とのかかわりが怖くて、人づきあいを避けてしまう傾向もあるのです。その結果分かってはいるけど、人からの拒絶が怖くて動けない、前へエネルギ-が向かない等心理、行動的問題が出てくるのです。
ここで大切なことは、自分の持っている信念は誰に教えてもらったかです。
それは、過去、子供時を振り返ることにより、自分を苦しめている信念、思いは自分のものではなく、誰か他の者(親等)からの刷り込みであることに気がつくことです。または、自分がその家庭で生き延びるためには、親からの愛を期待することは出来ず、自分を守るために、その信念を持ったのかもしれません。
まずは、自分の人生を苦しめている中核に過去を振り返ることにより気づくこと。
そして、本当はどうしてもらいたかったか。子供の時どのように親に接してもらいたかったか等。悲しみ、怒り等様々な感情の体験、今まで表現出来ず抑えていた感情を体験するのも1つかもしれません。
または、自分に生き辛さの責任はなかったと気づいた瞬間に楽になるかもしれません。
過去を振り返るのに一定のル-ルはありません。
人様々だと思います。
そして、過去を振り返り整理出来た後は、再度今の生き辛さの問題を(人間関係が築けないのなら、具体的にどのようにするか)考え、今を規準とした心の整理、適応のために行動化の促進を行う必要もあると思います。
アダルトチルドレンからの回復において、過去を振り返るということは、それが必要な人にとっては有効な手段であるのです。